旅ってなんだろうを見つける旅
「頻繁に旅行をしてください」
これは先日人生で初めて行った占い師に言われた言葉だ。
立派な中年になってしまった私だが、いままで占いというものをやってもらったことがない。単純に興味がなかったし、信じてもいなかった。
だが今年になって色々と人生に変化があって、これからどうやって生きていこうか考えを巡らせる年になった。なってしまった。
こうなると自分でも色々と変化していかないといけない、というほど大げさな話ではないのだが今まで気にも留めなかったことに目がいくようになる。占いもその一環で行ったようなものだ。
占い師曰く、「ひとところにいると、悪い意味で安定してしまうきらいがある。だから頻繁に旅行して頭を柔軟にしていく必要がある」とのこと。
なるほど。コールドリーディングの一種のような気もするが、心当たりがないわけでもない。というか、中年独身男性なんてこのような傾向にある人が多いだろう。しかしそんなことにケチをつけるより、そのことを気付かせてくれたことに感謝しよう。
確かに私は旅行を趣味としていないし、あまり出る機会もない。1年半前に書いた記事は旅といえば旅であろう。が、頻度としてはかなり低い。
で、旅である。
私は本当に旅下手である。目的がないとどこかに行くことをしない。富山の時がかなり例外だった。
今回行ったのは大阪。新幹線で行けば3時間もあれば行けるところ。
私にとって旅というと夜行バスである。大学の頃スキーにハマっていた時によく乗っていたからか沢木耕太郎の「深夜特急」を読んだからか。ともかく夜行バスが好きだ。
バスターミナルに集まる乗客も空港などのそれと違ってどこかテンションが低い。ほとんどの人が黙っている。深夜2時くらいの中途半端な時間にサービスエリアに止まり目が覚め、ボーっとした頭を外の冷気で覚醒させる瞬間などとても良い。朝5時過ぎに到着し、周りに空いている店もろくにない状態で放り出されるのも味わい深い。
私にとって旅というのは、なんなら到着時までにほとんど味わってしまっているのかもしれない。
今回の大阪は旅と言いつつ目的が決まっていた。昼間に大阪のモデルさん撮影、夜に写真仲間のがそと路上撮影。
これって旅なのか?仕事などでの出張と何か違うのか?その人が大阪にいるからというだけであって、大阪でないとできないということでもない気がする。梅田駅に着いて、付近のカフェでそんなことを考える。
まぁいいや。旅の定義は人それぞれ(多分)。今後色々なところに行って自分なりの定義を見つけよう。ひとまずは午後からの撮影のことを考える。
群馬の田畑広がる田舎で生まれ育った私にとって、東京と大阪は大差ない。どっちも大都会だ。新宿も梅田も似た感じ。カフェの窓から通勤している人たちを見ながら、これからの人生を考える。
あぁ、これは旅かもしれない。普段の環境と離れたところで内なる課題と向き合ってる感。場所を変えたからといって考える頭が変わるわけではないのだけど、何か外部刺激が加わっているかもしれない。何一つ確証はないけどそんな気持ちにもなってくる。錯覚かもしれないが、それも旅か?いや、別に自分探しすることが旅じゃないぞ?
午後から夜にかけての撮影はつつがなく。大阪のモデルさんと撮影しながら、これからやろうとしている仕事に関しても意見交換できた。また、夜の路上撮影の前に予定にはなかったモデルさんと合流して話をすることができて、今度ちょっとした仕事をすることにもなった。なんか仕事の出張みたい。
翌日朝にはすぐに帰宅。あれ、これ旅か?駄目だ、分からん。
2024年は色々なところに行って「俺にとって何をもって旅とするんだろう」を探すことにする。
多くの人が「旅写真」を撮っているけど、自身の旅写真スタイルが見つかればいいなと思う。