兎丸愛美・笠井爾示写真展「羊水にみる光」に感じた乾きと湿度

3月15日、最終日に観にきた

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ギャラリー入り口。奥に写っているのは笠井さん。



兎丸愛美さんの名前は何年か前からSNSで知っていた。正確に活動内容を把握していたわけではないけど、なんとなく気にしていた程度。そして今回の写真展にあった写真はなんとなくで感じていた印象を強めたものとなった。

写真を見た印象を一言でいうと

「芯はあるけど、無駄なものがほとんどない」

感じ。強めたいところを強めて、それ以外を排除するとこういう感じになるのかなと思った。

ミニマルな表現をした結果、モデルである兎丸さんを最大限に浮かび上がらせている。なんかふわっとした言い方で自分でもアレだなとは思うけど。

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今回の写真展の写真集。併せて買ったのは前から欲しかった西野壮平「WATER LINE」



事前予想ではもっとウェットなものになっているのではないかと思ってた。以前見た「月刊・酒井若菜」みたいなイメージ。もしくは「接写」みたいな。写っているものは同じ女性モデルなのに今回の写真は妙に乾いてる印象を受ける。笠井さんでヌード写真だともっとウェットなイメージがあるのに。そして表現的にもっとウェットな印象を受けてもいいはずなのに。

会場に笠井さんがいらっしゃったのでその辺の感想をそのまま言ってみた。

「ウェットな印象も乾いた印象も両方受ける不思議な感じです。なんでそんな印象なのか理由は分からないのですけど」

と馬鹿な小学生みたいな言い方で。笠井さんは

「乾いてますよね」

と一言。やっぱりそうなんか。

 

今これはギャラリーがある学芸大学駅の近くのドトール(高級バージョン。コーヒーが一杯500円する!ドトールなのに!)で書いているのだけど、ギャラリーを出て30分経ってゆっくり要因を考えてみている。

要因の一つは写真の彩度の低さがあるのかもしれない。Twitterのアカウントの中でもこんなことを言っている。

 

暗闇の中で少ない光源で撮っているとしたら、あの肌に乗っていたノイズもそういうことなのだろうか。あれがデジタルノイズなのかフィルムノイズなのかはよく分からなかったけど(多分デジタル)

なんというか、それで毛羽立った質感が出てきて、それが乾いた印象を与えていたのかもしれない。

あと兎丸さんの表情だ。笠井さんとの個人的な距離感というよりは兎丸さんが兎丸さんのままでいて、笠井さんによる観察記録みたいな感じだった。写真集の方を見ると兎丸さんがまっすぐカメラを見据えた写真が結構多い。お互いに観察しあったものなのかもしれない。

ひとまず今日のところはそういう結論にしよう。