David Hockneyから影響を受けた写真の話

 

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使った写真は140枚くらい

ホックニーの写真を初めて見たのはおそらく2010年だと思う。当時通っていたワークショップの中で、写真を継ぎ接ぎして完成させたいという人がいた。その時に講師が参考として見せたのがホックニーの写真だったと「思う」。曖昧な言い方なのはその時に写真家の名前を覚えていないため。「面白いな」とは思ったけど、その時は自分でやろうとは思ってなかったためちゃんと確認しなかった。

時は流れて2015年。友人と二人展を行うことになり、”ヌード”をテーマとしてバーで展示することになった。正直写真を展示するには優しい照明条件ではなかったため、微妙な光の変化やおとなしい作風は合わないだろうと考えた。その時にホックニー(だと思う)の写真を思い出した。

当時買ったポラロイド写真の写真集に同じような撮り方をしているものがあって印象に残っていた。これは正真正銘ホックニーの写真。

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TASCHENから出ている「POLAROID BOOK」から

私が出した写真は連れ込み宿風のホテル(今はもう無い万上旅館)で絡み合う男女の写真(残念ながらここでは出せない)と、明るい自室で酒を飲む女性のヌード写真だった。

特に前者は生々しい内容を非現実的な絵柄と色彩にしたことで面白いバランスになった。見てくれた人からも好評で、4年経った今でもあれが私の一番の写真だと言ってくれる人もいる(逆に言えばこの4年それ以上のものを撮れてないってことだけど)。

 

やってみたら想像以上に楽しいもので、2017年の個展でも同じ手法で3枚出展した。これは思い切ってA1サイズにどーんとプリントして壁の中央に配置した。

その時に言われたのだ。「これはやっぱりホックニーから影響を受けたのですか?」と。

実はその時の私はホックニーの名前を認知してなかった。先ほど挙げた写真集でも作家名までちゃんとチェックしてなかったのだ。だからそのお客様にも「えーと、名前は分からないのですが写真集にこんなのがありまして」と歯切れの悪い言葉になってしまった。帰って確認したらちゃんとホックニーの名前がある。あの時のお客様に「はい、ホックニーです!」とお答えしたい。

 

上に貼った写真は4月に撮ったもの。この1枚で大体140~170枚くらいの写真を使っている。最初に背景部を一気に撮ってしまい、後から人の部分を撮る。貼りあわせる時も同じ工程で、背景部を完成させてから後から人の部分を重ねる。

私がこの撮り方をするときは楽しげな雰囲気にするか、非常にエロティックにするかどちらかだ。前者は華やかさを増長するし、後者は面白いバランスになる。

いつかこの撮り方だけで個展をやってみたい。